【クラシックピアノとポピュラー音楽ピアノの違いについて】
川崎市高津区の鈴木理恵ピアノ教室です。
ピアノを習い始める際、「クラシックも弾きたいけれど、今流行している曲やジャズ、ディズニー、ジブリの曲も弾いてみたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、クラシックとポピュラー音楽のピアノ演奏スタイルやテクニックの違いについて、ピアノ教師の視点から考えてみたいと思います。
1・演奏スタイル
クラシックピアノ
クラッシックピアノでは、作曲家が楽譜に記した意図を忠実に再現することをとても重視します。
楽譜には音符や休符だけでなく、強弱、テンポ、アーティキュレーションなどの細かい指示が記されています。
それらを正確に読み取り、作曲家が楽譜に込めた内容を何一つおろそかにせず、表現する努力が必要なのです。
また、クラシックピアノの楽曲は、ソナタ形式、フーガ、ロンド形式など、構成力が求められる複雑な作品が多いのも特徴です。
さらに、演奏時には時代背景やスタイル、演奏法を理解することも重要です。
例えば、以下のような違いがあります。
バッハ
:対位法を意識した演奏
モーツァルトやベートーヴェン(古典派)
:アルベルティバスや強拍・弱拍の拍感を明確に
ショパンやリスト
:脱力を伴った表現力豊かなタッチ
印象派(ドビュッシー、ラヴェルなど)
:繊細なタッチと音の響きを重視
プロコフィエフやカバレフスキー
:芯のある力強いタッチや明確な打鍵
また、装飾音符の扱い方も時代によって異なるため、その様式を理解した上で演奏することが必要です。
さらに、クラッシックピアノでは、グランドピアノやアップライトピアノを使い、生音の響きにこだわった演奏がとても重要です。
ポピュラー音楽ピアノ
ポピュラー音楽ピアノの特徴は、自由な表現と幅広いジャンルにあります。ジャズ、ポップス、ロック、ブルースなどはもちろん、ディズニーソングやジブリソング、映画音楽も含まれます。
ピアノ教師としては、クラシック音楽以外のすべてのジャンルが、このスタイルに当てはまると考えます。
ポピュラー音楽ピアノは、耳に馴染みやすいメロディーやリズム感が特徴です。
楽譜はあくまで参考として、アドリブや独自のアレンジを加えることが一般的です。
演奏の中心はコード進行やリズムにあります。
左手でコード進行を弾きながらリズムを加えて、右手でメロディーを奏でるスタイルが基本です。
ただし、ピアノ初心者にとっては独自のアレンジが難しいため、市販のアレンジ楽譜を利用することが多くなります。
ポピュラー音楽ピアノの楽譜は、初心者向けから上級者向けまで幅広い難易度やスタイルが出版されており、レベルや好みに合わせて選ぶことができます。
例えば、ディズニーソングやJ-POPなどの楽曲では、初心者でも右手でメロディーを弾き、左手でベース音だけを演奏する簡単なスタイルで、充分楽しむことができます。
一方で、テクニックに優れた上級者は、同じ曲に豪華なアレンジを加えて、より華やかで聴き応えのある演奏をすることも可能です。
これがポピュラー音楽ピアノの大きな魅力と言えるでしょう。
さらに、ポピュラー音楽では、電子ピアノやシンセサイザーなどの多彩な音色を活用して、演奏に独自の表現を加えることもできます。
(専門的に学ぶジャズや現代音楽は例外で、あくまでも一般的なピアノ教師の視点です)
2・演奏テクニック
クラシックピアノ
クラシックピアノの演奏では、指の独立性や正確さが特に重視されます。
左右のバランスやモチーフの引き分けが重要なため、各指が独立して動けるように鍛える必要があります。
基礎練習として行うスケールやアルペジオ、半音階の反復練習は、正確なタッチや音の均一性を身につけるために欠かせません。
また、クラシックピアノでは、音色の幅も非常に重要です。
たとえば、ドビュッシーの「月の光」を弾くときには、柔らかく透明感のある音を生み出すために繊細なタッチが必要です。
一方、ベートーヴェンの「熱情ソナタ」では、鍵盤に腕全体の重みを伝えて力強い音を出す技術が求められます。
つまり様々な音色が出せるように、指先だけでなく、手首や腕、肩、重心移動など、身体の使い方の訓練が必要です。
これらの緻密な基礎練習と長年のトレーニングを通じてクラッシックピアノに必要な技術が磨かれます。
正確なテクニックと豊かな表現力を身につけることで、作曲家の意図をより忠実に表現できるようになります。
このような過程を経て、クラシックピアノ独自の魅力が引き出されるのです。
ポピュラー音楽ピアノ
ポピュラー音楽ピアノの演奏では、リズム感やコード進行に対する感覚が重要です。
ジャズではスウィング感、ポップスではビート感が演奏の核となり、これらの感覚が曲全体の雰囲気やエネルギーを作り出します。
また、シンコペーションやグルーヴ感といった要素を自然に表現するテクニックも必要で、これがポピュラー音楽ピアノ独自の難しさでもあります。
たとえば、楽譜に書かれた通りのリズムで正確に演奏しても、機械的な印象を与えてしまい、曲の持つ高揚感や「ノリ」を引き出せないことがあります。
つまり、それぞれのジャンルの演奏感覚が求められるのです。
また、ポピュラー音楽ピアノではクラシックピアノのように、楽譜に細かい指示が書かれていないことが多いため、演奏者自身のセンスや経験が重要になります。
たくさんの曲やリズムを体験し、体に染み込ませることで、感覚を養っていきます。
つまり、単に楽譜を再現するのではなく、自由な発想と個性、時に即興的な演奏、そして、音楽を楽しむ感覚が必要です。
こうした感覚的な演奏がポピュラー音楽ピアノの魅力なのです。
クラシックピアノとポピュラー音楽ピアノ、それぞれに独自の難しさと楽しさがあります。
どちらも楽譜を読み、指を動かすというスタートは同じです。
興味や目的に合わせて、自分に合ったスタイルを選び、自分らしい音楽の時間をぜひ楽しんでくださいね!
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